目の下のくま:下眼瞼形成術

いわゆる目の下のくまには大きく分けて3つの種類があります。

  1. 青黒くま
  2. くすみくま
  3. 影くま
以下にそれぞれの治療方法を記載します。

1.青黒くま

下眼瞼の皮膚が加齢により薄くなるために皮膚の下にある眼輪筋が透見することにより皮膚が青黒く見えます。これについては外科的な治療は困難といわれています。当院ではインプレAクリームをおすすめしております。このクリームはピュアレチノール(ビタミンA)により皮膚の新陳代謝をあげ若返りの効果を期待するアイクリームです。またビタミンC・Eも含まれているためトリプルビタミンによる相互作用で複数のエイジングトラブルをケアします。

2.くすみくま

皮膚がちりめんのように細かいしわの形成により光の乱反射が起こります。それによりくすみが生じます。皮膚を軽く外上方に持ち上げくまが薄くなる方は手術の適応があります。手術自体は比較的簡単でコンセプトとしては、下眼瞼の余剰皮膚を切除し縫合するということです。手術は目のきわを切開し皮下を十分に剥離、眼輪筋外側を眼窩外上方にある骨膜に固定しリフトします。下眼瞼の睫毛直下からアプローチしないと後に加齢や重力により、皮膚の傷痕が下方に牽引され、目立ってしまいます。かなり神経をつかって切開を行います。余剰皮膚切除後は髪の毛より細い糸で細かく丁寧に皮膚を縫合します。縫合には顕微鏡(拡大ルーペ)を用いて縫合します。半年から1年程度でしわと同化しわからなくなるようにきれいに、美しく縫合します。 以下に実際の手術の写真を掲載します。

①丁寧に眼輪筋上を剥離します。
②十分に広く剥離します。
③眼輪筋皮弁を作成しリフトし、余剰皮膚を切除します。
④美しく縫合します。

3.影くま

下眼瞼に眼窩脂肪の突出による隆起により、陰影が形成されるくまのことです。このくまこそ形成外科が得意とする手術なのです。まずは解剖からこの影くまの成り立ちを見てみましょう。

解剖

眼窩腔は、上、下、内、外壁から構成されております、眼窩開口部の縦経は約35mm、横経は約40mm、眼窩外壁の深さは約47mm、内壁の深さは45mmで、その容積は30mlとなっております。(写真右)この中に約7mlの容積をもつ眼球があり、その周りを脂肪が覆い、眼窩隔膜という線維の膜で蓋をしています。眼球は立体空間のなかを筋肉で吊られ、脂肪で保護されることにより、カメラのように3次元的な運動を可能としています(図1)。しかしながら眼球にかかる重力という負荷や、加齢による眼窩内を支持していた線維の弛緩により下眼瞼の皮膚が前方に飛び出す、いわゆるbaggy eyelidの状態となります。つまり脂肪が増えたのではなく(加齢により脂肪はむしろ減少します、その証拠に加齢とともに上眼瞼がくぼむ:sunken eyeが散見されます)緩みや、眼球の重みで下まぶたがとび出てくるのです(図2)。


(図1)正常の状態です。
(図2)加齢とともに眼球を支える靭帯が弛緩し、脂肪が前方へ押し出されることにより下眼瞼の突出が形成されている状態です。

一般的に20~30代前半においては眼窩脂肪の防波堤となる眼窩隔膜、眼輪筋のゆるみが少ないため、結膜切開からのアプローチをおこない単純あふれでる脂肪を摘出します。眼窩隔膜内での出血は球後出血を引き起こすため慎重な止血が要求されます。結膜切開からのアプローチは縫合を必要としないためこれで終了となります。以下にシェーマを記載します(図3)

(図3)結膜よりアプローチし余剰な眼窩脂肪を摘出します。
以下に実際の手術の写真を掲載します。

結膜よりアプローチし余剰な眼窩脂肪を摘出します。 以下に実際の手術の写真を掲載します。

手術

 結膜よりアプローチし余剰な眼窩脂肪を摘出します。

では中高年の患者さまにこの施術をおこなうとどうなるでしょうか?眼窩脂肪が突如、減ることによりそれまで張り出していた皮膚、眼輪筋、眼窩隔膜があまってします。すると当然余った皮膚がいき場所を失って「たるみ」となり出現します。結膜切開から施術した方法の術後6月もしくは1年程度は良いでしょう。しかし長いスパンで患者さまのことを考えるとやはり余剰皮膚切除、防波堤(眼窩隔膜、眼輪筋)の補強が必要となります。当院ではこの考えからハムラ法に改良を加えたハムラ変法を用いて治療をおこなっております(図4・5)。
この下眼瞼の皮膚から眼窩の骨までのアプローチこそ我々形成外科認定医が得意とする領域なのです。というのも、形成外科認定医を取得するため、また取得後、総合病院の形成外科科長を経験する過程で数多くの頬骨骨折を経験します。それこそが、このハムラ変法の手術のアプローチとまったく同じなのです。つまりは慣れた風景といえます。(全身麻酔と局部麻酔の違いがありますが)術中には広く眼窩下縁の骨膜上を剥離します。これにも理由があり、眼輪筋と眼窩下縁の骨膜をつないでいる靭帯、いわゆる下眼瞼の法令線ともいえるゴルゴ線の原因となる靭帯を切離することでよりなめらかな下眼瞼のラインが出来るようにしています。その後、眼窩隔膜を切開し(写真1)、自然にあふれ出る眼窩脂肪のみをペアンではさみ余剰な脂肪を切除、バイポーラにて丁寧に止血します。眼窩隔膜、眼窩脂肪の一部を眼窩下縁の骨膜に一塊としてモノフラメント吸収糸にて縫合固定します(写真2・3)。それにより突出した部分を平坦に改善させるだけでなく、ゴルゴ線の下床に眼窩脂肪を移動させるため張りのあるミッドフェイスの形成が可能です(写真4)。またよりふくらみの形成を要すると判断した場合は主に下肢より脂肪を採取し精製、脂肪注入することでさらに若返らせることが可能です(脂肪注入)。その後外側の眼輪筋を皮弁としておこし、眼窩外側の骨膜に縫合することで外上方へリフトさせます(写真5)。眼瞼より外側はモノフラメント吸収糸にて真皮縫合を行います。この時点で余剰皮膚切除量をデザインします。デザインは助手に頬部を強く下方に指で引っ張ってもらいそれでも自然に縫合できるラインを切除範囲とします。日本人ですと通常3~5mm前後を目安に切除を行います(5mm以上の切除はアッカンベー状態<兎眼>を誘発する可能性が高くなり危険です)。デザインを決めたら、まずデザインのラインに対して垂直に割をいれ仮固定を行ったあとに患者さまに、座位の体勢で上方を見てもらい、大きく口をあいて舌を出してもらいます。ここで兎眼にならないか再度確認します(この慎重なデザインが兎眼を予防します)。慎重を期した後皮膚切除を行います。下眼瞼縁は真皮縫合せず、皮膚縫合のみ髪の毛より細い糸(世界で最も高級糸といわれるエチコン社製を用いております)で、拡大鏡(ルーペ)を用いて丁寧に連続縫合します(写真6・7)。

(図4)下眼瞼が突出してしまった状態。
(図5)突出した脂肪をきれいな状態に形成した後皮膚が余ります。この余った皮膚を残しておくと更なる小じわの原因となるためミッドフェイスリフトを兼ねた、リフト+皮膚切除をおこないます。
 術前のデザインです。瞼縁を切開します。また摘出する脂肪をデザインします。
(写真1)
 閉瞼時の状態です。
(写真2)
 眼窩脂肪を露出した状態です。
(写真3)
 眼窩脂肪を一部切除し、眼窩下縁を骨膜上で約1cm下方へ剥離します。
(写真4)
 骨膜上に眼窩脂肪と眼窩隔膜をまとめて5針マットレス縫合にて固定します。
(写真5)
別の角度にて撮影しています。突出していた脂肪がなくなりフラットの状態になっているのがわかります。
(写真6)
 眼輪筋皮弁を作成し、外上方の眼窩縁骨膜に固定します。
(写真7)
 大きく開口し上方視した状態で外反にならない事を確認した後、余剰皮膚を切除し6-0PDS、7-0ナイロンにて丁寧に細かく縫合します。眼瞼外側は単ケッサツとし、瞼縁は連続縫合としています。
(写真8)
 術直後開瞼している状態です。
(写真9)

術前の状態です。下眼瞼の突出、ゴルゴ線が目立ちます。


術後3ヶ月の状態です。突出が平坦化し、ゴルゴ線も目立ちません


目の下のくま:下眼瞼形成術について

手術の適応 下眼瞼の突出がある方、しわが目立つ方。
アフターフォロー 術直後ははれるためサングラスを持参してください。
2週間程度はれます。
通常であれば1週間程度で抜糸が可能です。
合併症 内出血をおこす可能性があります。
感染の可能性があります。
極めてまれな合併症として左右差、兎眼の出現の可能性があります。
価格(手術代) ■下眼瞼たるみ、ふくらみ取り
皮膚切除のみ:272,500円
皮膚切除&眼窩脂肪形成&ミッドフェイスリフト:330,000円
自家脂肪注入:+108,000円

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